ヴェール と 花嫁 / 3「せんせー、はやくーっ!」 少し前を行く子供達がはしゃいだ声を上げて大きく手を振っている。その姿を見ながらアスランは上り坂の道を一歩また一歩とゆっくり登って行く。標高の低い山とは言え、ところどころきつい斜面の続く道に、体は次第に汗ばみ始めている。踏み出す一歩が段々と重く感じられるようになってきた。 「元気ですわね、子供達は」 隣で肩を並べて歩きながら微笑みを浮かべているラクスは、けれどもアスランほど疲れてはいない。生まれた時からこの地にいる者と街からやって来た者との体力の差が、徐々に表れつつあった。 「昔はあれっくらいの元気は普通にあったんだけどな」 そしてまたその隣で肩を並べているカガリが口にする。そうは言いながら、カガリもさほど疲れている様子は無い。おそらく二人共、アスランに歩調を合わせてくれているのだろう。 「いや、山羊を追いかけていた時の速さは尋常じゃ無かったと思うけど」 ぽそりと呟いた言葉はしっかりカガリの耳に届いたようだった。 「だってあいつ、わざと逃げるんだ」 誰に言うとも無くカガリは前を向いたまま憤然とした口調で答えた。 「わざと私の見ている前で逃げてみせるんだ。『捕まえられるものなら捕まえてみろ』って言わんばかりに。これって私に対する挑戦じゃないか。だから、あいつとの勝負はいつも真剣勝負なんだ」 「まあ、きっとその山羊はカガリさんに遊んでもらいたいのですわね」 わかるようでよくわからないその会話を聞きながら、アスランは二人を眺める。いつもスカート姿のラクスは今日はパンツスタイルに身を包んでいた。さすがに山に登るのに、スカートは無理があるのだろう。長い髪を今日は後ろでスッキリと束ねている。そんなラフなスタイルでもラクスのどこか優雅な雰囲気は変わらない。口調だけではなく、それはどこか体から醸し出されるものによるのだとアスランは思った。そしてその隣に見えるカガリの姿は、今日は修道服姿では無かった。初めてアスランはカガリの年頃の娘らしい服装を目にしていた。娘らしい――とは言ってもそれはラクスと同じパンツスタイルだったが、あの堅固な古びた城砦を思わせる修道服に比べたら、それはなんと娘らしい服装であることか。密かにその姿に目を走らせながら、アスランは心に今日はあの灰色が映らない事がいくらか自分をほっとさせていると思った。その色から繋がっている自分の諸々の想いから、苦い胸の内から、少しでも解放されたような気がする。目に映るのは周りの萌える緑や空の青、そして彼女達の明るい髪の色であって、その暖色系の色がアスランの心を和ませ寛がせた。 次第に木々の間に見える空の面積が広くなって、それは頂上が近付いた事を示していた。頂上に近付くに従って、生えている木々の種類が少しずつ変わるのだと言うことをカガリが教えてくれた。 「高い場所が好きな木と、低い場所が好きな木があるんだ。木も人間と一緒でそれぞれ好みがあるらしい」 そんな他愛の無い話をしているうちに、いつの間にかアスランが二人の間に挟まれる形になった。 「高い場所にある木は背が低くて成長も遅い。厳しい環境で生きているからそれだけゆっくり時間をかけて成長するんだ。でもその分、生命力も強い。だから昔から頂上近くにある木の皮を、村の人は薬として木から分けてもらってたんだ。その長寿にあやかれるようにって」 「今では木の保護のために、皮を剥ぐ事は禁じられていますけれど」 両側の二人の話を聞きながら登るうちに、いつの間にか周りの景色が背の低い木々に移り変わり、辺り一面が見渡せるようになっていた。広々とした空間が視界に映り込んでいる。その変化の鮮やかさにアスランは感嘆とした思いに囚われた。 「頂上はもうすぐそこですわ」 見上げると、すぐ上に見える頂上で子供達が手を振っている。地と空との境目が、くっきりと浮かび上がっていた。 けれども山の「すぐそこ」はそう見えるだけで、なかなかそこへは着かなかった。近く見えてはいても、運ぶ一歩一歩があまりに重過ぎてずっと同じ場所で足踏みをしているようだ。――いや近く見えるだけに、なかなか進むことの出来ない自分の足取りが酷くもどかしい。 まるで自分の気持ちを暗示するかのようなその道のりに体から噴出す汗を感じながら、ただ黙々と頂上へと繋がる道をアスランは登って行った。 広い頂上から連なる山の向こうへと、ずっと道が延びている。その両側に高山植物の群生するなだらかな丘陵が広がっていた。ところどころに美しい花畑が見えるそこは正に天上の楽園のようだった。雲は下界よりも間近に見え、空はより一層青味を帯びている。吹いて来るひんやりと涼気を含んだ風が、汗に火照った体を冷まして心地良く通り過ぎて行く。地上の忙しない生活が嘘のように思えるほど、そこは別世界だった。心を洗われるような景色の広がりに、アスランはしばらく心を奪われていた。 「パンをもうひとついかがですか?」 ラクスの声に我に返ってみると、バスケットを持ってこちらに差し出しているところだった。 「いえ、もう十分にいただきましたから。有難うございます」 「じゃあ私がもらおうかな」 「あら、まだ食べるのですか?」 呆れるラクスの声など気にせず、カガリの手がバスケットに伸びる。 「だってラクスのパンは村一番だからな」 「ではその私がいくら教えても上手くならないのは何故かしら?」 にこりと微笑んだその言葉に、カガリの伸ばした手がピクリと反応する。 「シスター達が嘆いていらっしゃいましたわ。せめてパンくらいは人並みに焼けるようになってくれないと、いつまでも山羊の世話ばかりはさせられないって。これでは修行が全く進まないと酷くこぼしていらっしゃいました」 「――別にパンが焼けなくても信仰心に差し支えは無いと思うぞ」 「『これは、私の身体。これを受けて食べなさい』」 その言葉にカガリはギョッとする。 「確か神のお言葉でしたわね?最後の晩餐で自分の身体をパンとし、それを割って弟子たちに分け与えた――」 「あ、なんかもうお腹一杯になったみたいだ」 伸ばしていた手を引っ込めて、カガリはアスランの方を向いた。 「ちょっと散歩にでも行かないか?」 まるで姉妹のようなやりとりを微笑ましい思いで聞いていたアスランは、いきなりカガリにそう振られて戸惑った。 「え――ああ」 にこりと微笑むラクスの言葉に含まれたたしなめを、何とかやり過ごそうとしているカガリの様子につられて思わず返事をする。 「せんせー、お花摘みに行こうよっ!」 既にお昼を食べ終えて思い思いに遊んでいた子供の内の一人がラクスの側に駆けて来た。するとそれを聞いた他の子供達もいっせいに集まってくる。 「行こうよ、行こうよっ!」 手を取って早く早くとせがむ子供達に「ちょっと待って下さいね」と示してからラクスは、 「それでは私達はちょっと向こうのお花畑へ行って参りますわ」そうアスランににこりと微笑みかけた。 「ええ」 そうして子供達に囲まれ、手を引かれて歩いて行くラクスの後姿をアスランは見送った。一緒に歌を歌う楽しそうな声が聞こえてきたが、それも次第に小さくなっていく。 その声を耳にしながら先ほどのラクスの笑みが、どこか含みがあるように思えたのは気のせいかとアスランは思った。それは先日、『素敵な偶然ですわね』と言った時のラクスの笑みを思い出させた。 「どうする?」 ぽつりと聞こえた声に、その時その場に二人で取り残された事に、アスランは漸く気付く。 「散歩、行くか?」 隣で首をかしげているカガリを見て、一瞬逡巡した後返事をする。 「――ああ」 思わず二人きりになった事に突然咽るような気持ちがわき起こるのを払うように、アスランは服に付いた土埃を払うとおもむろに立ち上がった。 ラクスと子供達が向かったのとは反対側の斜面に足を向けると、そこにも美しい花畑が所々に広がっていた。高地の花は低地の花と比べると背も低く、色の派手さも無いが、代わりに可憐で愛らしい花が多い。その愛らしさが群れになっている光景は誰もが惹きつけられるほど夢のような景色だった。その夢のように思える絵の中で、アスランは先程からカガリと並んで座っている。足を向けた斜面の遥か下の方にはキラリと光を反射している小さな湖や、集落の建物が玩具のように見える。上へと目を向けると、向こうに見える高く聳えた山々の稜線が、青い空の中にくっきりと浮かび上がっていた。より高い場所で見る山の稜線と言うものが、また格別な美しさを備えている事にアスランは気付く。 「いい眺めだろ?」 そんなアスランの気持を察してか、カガリが口にした。 「この間『何も無い』村だって言ったけど、この美しい景色だけは『ここにしか無い』ものなんだ」 立てた膝に頬杖をつきながら、カガリは遠くを見ている。山々の稜線と空との境に目をやっていたアスランは、横目でそんなカガリを垣間見た。 「『何も無い事が救いになる』ってあの時言ってた言葉を、ずっと考えてた」 思わぬ言葉が聞こえてアスランは僅かに目を見張る。 「私には親も兄弟も家も何も無い。何も無いからこそ、こうして生活が出来ている事の有り難さがよくわかる。生かしてもらっている事に本当に感謝している。あったら気付かない事が、無いからこそよく見える。でもそれは、『何も無い事が救いになる』って言うのとは、ちょっと違う。――『何も無いけれど救いがある』、言い換えればそれが私の場合なんだろうなって思ったんだ」 ただ自分を見据えているアスランに、カガリは静かに微笑んだ。 「だからアスランはきっと、何かが『あり過ぎて救われない』んじゃないかって。『ある事』が心を傷付けているんじゃないかって」 そこまで言うとカガリはまた遠くの景色を目に映す。 「そう思ったんだ」 言葉も無く、ただ見開いた目をカガリに向けていたアスランは、やがて弱々しく目を伏せた。足元の短い草が目に映る。今の自分はこの草よりもきっと弱いに違いない。カガリの言葉がそんな自分の弱さを目の前にさらし出したように思えた。 『何も無いけれど救いがある』その言葉が胸を刺した。 何もかもから目を背けている自分の不甲斐なさが改めて浮き彫りになってアスランの心に押し寄せた。 「結局は逃げたんだ――何もかもから」 苦しい息を吐き出すように漏らしたその言葉に、静かにカガリが視線を向ける気配がして、アスランは心の底で怯えた。弱い自分をさらけ出すのは恐かった。誰にもさらけ出したことの無い胸の内を、何より彼女と言う存在に告白するのは、まるで罪を明らかにする咎人のように痛みを伴うものだった。 けれども唇は吐き出す場所を求めるように、動きを止めなかった。 「父は政治家なんだ。元々そう言う人間が多い家系でね。祖父も政治家だった。だから、俺は生まれた時から当然のように跡を継いで政治家になる事を義務付けられていた。他の道を選ぶ余地も無い。小さい頃からそのための教育も叩き込まれて来たし、父の姿を見て学ぶよう常に言い聞かされてきた。友達が流行りの玩具で遊んでいるのを横目に見ながら、けれど自分がそこに一緒に混じって遊ぶ事は許されなかった。学校の成績がトップから滑り落ちる事はもってのほかだったし、それが当然だった。努力したよ、厳しい父にこたえるために。けど、――いつしかそんな自分の中にも、『自分の意志』というものが心に芽生え始めたんだ。ふとした事がきっかけで――」 足元の草を見ていた目はいつの間にか山の稜線を見ている。過去の自分を懺悔するような告白は、遠くの山並みを見る眼差しに似て、過ぎ去った時を彼方に顧みるような、どこか儚さを思わせる瞳の中にあった。それは以前、アスランが一度見せた事のある瞳だとカガリは思った。 「父が受け取るべきではない多額の金をに手にしていると知った時だった。知ったのは偶然だった。――勿論綺麗な世界ではない事はよく知っていた。けれど、それが父の本当の顔だと知った時、自分の中で何かが崩れた。理想としていた父の像が音をたてて崩れ始めたんだ。はじめはそれが『政治家』と言うものだと自分に言い聞かせようとした。けれどもそうすればするほど、今度は『政治家』になる意味が段々わからなくなった。元々それが当たり前として育てられた俺は、ようやくその時になって、『何故政治家になるのか』と言う根本的なことについて考え始めた。けれど考えれば考えるほど答えは出なかった。――そんな事は一度も考えた事が無かったからだ」 一人で話し続けている事に気付いたアスランはふとカガリを見た。頬杖をついていた手はいつの間にか膝を抱え、黙って澄んだ瞳をアスランに向けている。その真摯な姿に思わず心打たれて、アスランは急いで視線をまた山並に移した。 「――一度持った疑念はどんどん自分の中で膨らんで行った。『何故』ばかりが心に増えて、そのうち何もかもが『何故』と言う言葉で埋め尽くされた。窒息しそうなくらいに。何も手につかなくなった。虚無感に苛まれて、自分がどうにかなるような気がした。習慣で勉強だけは機械的にしていたせいで、父の望む大学に一応は進学した。けれどもそこでもずっと自分を見失ったままだった。このまま何もかも見失ったままで、父の望む道を歩んだのだとしたら――そう思うと、何のために生きているのかとか何のために生まれてきたのかとか、そんな根幹のところまで考えは及ぶようになった。今から思えば一種のノイローゼだったのかも知れない。何かに追い詰められたように、怯えるように、そこから逃げる事だけを考えるようになった。『政治家』以外の道だったら何でもいいと思った。父と、そして『政治家』から離れられるなら、ただそれで良かった。大学を卒業する間際になって、突然『教師になる』と言った俺に、父はただ冷たい目を放った。それまで見た事も無い背信者を見るような目付きだった。それを振り払うように、そこから逃げ出して遠く離れた土地の学校を選び、教師としてそこで子供達を教え始めた。はじめはただ何でも良くて選んだ教師と言う仕事が、そのうちに思いもかけず遣り甲斐の有る仕事だということに気付いた。子供達の笑顔に会った時、それまで知る事のなかった世界が自分の中に広がって行くのを感じた。政治の世界とは全く違う場所に、自分の生き甲斐を見つけたのだと思った。何もかも見失っていた世界に、それははじめて見つけた明るい光だった」 そこで一旦言葉を区切ってアスランは深く息を吸った。山の冷えた空気が鼻を通って胸に入り込み、いくらか気分を落ち着かせた。 「けれども父はそんなに甘くはなかった。少しの間好きにさせれば気が済むと思ったのだろう。いつの間にか上の人間を抱え込んで、俺が家に戻るように説得するよう差し向けた。ここでも父から逃れる事は出来ない、そんな絶望感に苛まれて突き落とされた気分になった。――そんな時に、本でこの村の景色に出会った。山と空と小さな村だけが映るその景色が、たまらなく見たいとその時思った。調べてみると、その村の学校が辞めた教師の代わりを探しているとわかった。迷う事無くすぐ希望を出した。列車を降り立った時に、この何も無い――山と空と村だけがある景色を見た時、どれだけホッとしたかわからない。ああここには『何も無い』んだって、自分を縛ろうとするものは無いんだって、そう思った。そう思うだけで、今まで知らなかった穏やかな気持ちになれた」 どこかで鳥の鳴き声がした。少し離れた岩陰から小さな鳥が飛び立ち、それをアスランはしばらく目で追っていたが、やがてまた口を開いた。 「けどそれは、結局また逃げただけだったんだ。ちゃんと向かい合おうともせず、――父からも、自分からも、逃げただけだったんだ」 カガリにと言うよりも、それは自分に向かって吐き出した言葉のように響いた。 「同じ事を繰り返しても、きっとまた父からは逃れられないだろう。それなのにはっきり父に自分の生きる道を宣言する勇気も無い。戻る事も進む事も出来ないまま中途半端に生きている。『あり過ぎて救われない』、確かにそうなのかも知れないが、言いかえればそれは自分で選べない弱さだ」 苦しげな声はそこで全てを告白し終わったように止んだ。山の上にまた静かなひと時が訪れる。 話し終えたアスランは何故か不思議な安堵が訪れるのを感じていた。弱い自分をさらけ出す事は何より耐えがたい行為のはずだったし、それをカガリがどう受け止めたのかと思うと堪らなく不安になった。けれども閉じ込めていた思いを吐き出すうちに、次第に心が楽になって行くのを覚えた。それは抱えていた重い荷物を、ひとつ、またひとつと降ろして行くようだった。 「あの花――」 カガリがおもむろに口を開いて、少し離れた場所に咲いている花を指差した。 「あそこに咲いてる花は、種から発芽して花が咲くまでに7年かかるんだ」 そう言うとカガリはアスランに笑って見せた。 「平地に比べてこの厳しい環境で花を咲かせるのは植物にとって大変な事なんだ。だから、彼らはゆっくり成長する。芽を出してから花を咲かせられるようになるまで、じっと厳しさに耐えて待つんだ」 立てた膝の上に手を重ねてカガリは花を見る。 「焦らなくてもいいんじゃないか?――花が咲くまで7年もかかるんだ。答えなんて、そんなに簡単に出るものじゃない」 そう言うとまたアスランを見て微笑んだ。 「弱くても、別にいいじゃないか」 さり気なく漏らされたその言葉を耳にした時、雲間から覗いた青い空を見たようにアスランは思った。 疑問と否定の言葉に埋め尽くされていた自分の世界に、初めてありのままを肯定する言葉が訪れた。一粒の種が、居場所を得て今発芽したかのように、心に小さな葉を広げている。険しい場所だと知りながら、それでも種はそこに根付いた。そこにこそ、種が求めていた場所があった。 「あ、ラクス達が戻って来た」 向こうから手を振りながら歩いて来るラクスと子供達の姿に気付き、それに応えてカガリが手を振っている。 「私達も戻ろう、アスラン」 立ち上がったカガリを見上げたアスランの目に、ヴェールを纏わないその髪が、薄く陽に透けて見えた。 目を細めるその視線を知らず、カガリは先に立って歩き始める。 ゆっくりと立ち上がったアスランの目に、前を行くカガリの背が少しずつ遠ざかる。 「やっぱり」 カガリの背を映していた瞳が僅かに歪められた。そしてそれは急にふっと力が抜けたように緩められていく。抗うことを捨てた瞳は、今、ありのままを受け入れることを選んだ。 「君を好きだと思う気持を止めることは出来ないよ。――例えそれが神に背くことであっても」 見詰めていた背中がその時立ち止まり、振り返った。 「なんか言ったか?」 一瞬強く吹いた風がアスランの声をさらって行き、カガリの元へは届けなかった。 静かに微笑を浮かべたアスランはゆっくりとカガリに歩み寄り、並びかける。 「今度また言うよ」 向こうでラクスと子供達がずっと手を振っている。それに今度はアスランも応えながら、なだらかに続く尾根の道をカガリと並んで歩いて行く。 その遥か上の空に、初夏を思わせる深い色の空がどこまでも広がっていた。 <08/12/14> *【補足】 某宗教とパンは深い関わりがあるそうです。この話の中でラクスとカガリが交わしている会話は、そういう要因からきています。「パンを膨らませる力を、神の国を成長させる力にたとえた」や「パンを裂いて食事を共にすることは兄弟の交わりを意味する」など、パンというものはその宗教にとって重要な意味合いを持つものとして存在しているようです。今回、それを話に引用しました。 ←2へ/4へ→ |