花菱草







久々の休日に、アスランが花を持ってやって来た。
「うわー、可愛い花。」
嬉しそうにカガリは笑う。
オレンジ色の芥子のような花弁が、カガリの金髪と瞳の色によく似合う。
花を貰って喜ばない女性はまず、いない。
「花菱草っていうんだそうだ。」
「へえー、いい名前だな。あ、花言葉、だって。」
カガリは花束に添えられたカードに気付き、読み始める。
「えーと、この花の花言葉は、『私の……』。」
言いかけて、カガリは口をつぐんだ。
目の前でアスランの緑色の瞳が悪戯っぽそうに笑っている。
「……で?」
「え…?っと、いや、あの……。」
カガリは少しづつ後退る。

パサリ、と花束が床に落ちた。


『花菱草。ケシ科。花期:春。英名カリフォルニア・ポピー。
カリフォルニア原産。花言葉…「私の願いを聞いて」』


<2004.11.30>